この本は恐らく子供向けに書かれたものだろうとは思うが、空気が魂のようなものと捉えられていた時代から様々な気体の発見のエピソードまでを分かりやすく表現されている。ちょっとした科学史になっていたので、歴史好きの私にとっては入りやすい本で楽しかった。
この中で、著者はシュタールの「フロギストン」に敢えて触れ、どんな著名な科学者でも間違いをするという話も書いている。そして、これが暫くの間、人々の間で信じられていたということも。それは恐らく、以下のことを読者であろう子供達に伝えたかったからだろうと思った。
学問は、なっとくのいかないことを、そのまま、うのみにする人々の間では、けっして進歩しません。なっとくのいかないことは、どんなことでも、大きいうたがいをもって、それを、自分自身の力で解決しようとする人々によってのみ、学問は進み、多くの人々の考えを、正しい方向にみちびくことができるのです。
まあ、この点に関しては子供でなくても必要な智慧だと思うんだけどね。自分がちょっとでも納得がいけば良いのだけれど、そうではないなら、自分で調べるというのは必要だと私も思うから。情報が氾濫する現代に於いては、その情報の取捨選択自体が難しい面がある、ということは承知しているけれど。