久しく池波作品を読んでいなかったのだけれど、本作品を読んでみて、やっぱり面白いと感じた。と言うより、「何でもっと早く読まなかったのだろう?」な気分になった。これから、少しずつこのシリーズを読んでいきたい。
この巻では武田滅亡から本能寺の変までの話が書かれているが、史実を軸に異説を含めた考察を交えての小説となっているため、真田家を中心に登場人物の背景が掴みやすく、また話に入りやすかった。最初はゆっくり読もうと思っていた作品だったが、途中から話が気になって、ついつい読んでしまう。そこは著者の作品作りの巧さなのかなとは思うのだが、歴史小説というものは本当に面白いなと思う。
物語の序章らしく、真田昌幸は未だ30代の男ざかり、10代の真田源三郎信幸・真田源二郎信繁兄弟は、いかにも少年らしい。これから歩むことになるであろう苦難の道をどう歩んでいくのか、物語と共に見ていきたいと思う。