笑いは、時に辛いことを癒す効果がある。けれど、万能ではない。それでも著者は、笑うことは人にとって必要なことだと言っている。そうでないと、悲しみや怒りなどの感情が積もりすぎてしまうからなのかな、と私は思った。
この本に出てくる地域は様々だが、いずれの地域でも、現状の環境から受けるダメージを跳ね返すような笑い話が楽しまれている。中には、国を持たない人々の笑い話もあるが、やはりその根幹は同じ処にあるんじゃないかと思う。誰だって、苦しんでばっかりじゃ嫌だろうと想像できるから。難しい理屈も、モノだけの援助も、力が及ばないことはある。却って、それが邪魔なのが「人の心」なのかもしれない。
それでも、やはり笑いは万能でない。あまりに悲惨すぎる現実の前では、笑いさえも人から奪われてしまう。そういう一面もあるのだということを、私は覚えていたい。出来るならば、どんな形でも、笑いが存在する世界であって欲しい。